今井洋企 ~「テラの灯は消さない」...孤高のエース、4年“完投”~

2003年4月上旬。
入学間もない今井が桃大1号館の教室を訪れた。

「ここ、テラーリンズですか?」


テラーリンズとしては、野球チーム結成4年目を迎えた春。
新入生の勧誘予定のなかったチームに突如あらわれた一人の03生が、ここから長くチームを支えることになる。

背番号18。
あおの青いグラブをみて、ある選手は「ダイスケ」と呼んだ。



 4月下旬には野球チームに合流し、5月には初登板。
当時、テラーリンズの先発には真弓・川島と2枚看板がいたが、そこに割って入るべく、数少ないチャンスで黙々と投げ続けた。


 5月に入って、大川・澤らがチーム入り。
それでも、03生では今井が唯一、試合では使われ続けた。

つまり、入学後2~3ヶ月のこの時点で、まわりの03生とはちがう立場におかれていたことになる。
その理由は、サッカーとの2足のわらじで、テラーリンズに溶け込んでいった今井の努力に他ならない。
ときには保科らのベテランにつき、時には寺門ら若手の兄貴分として、チーム内で潤滑油的な役割を果たした。


川島の卒業後は真弓に続く2番手投手として定着。
そして、真弓の卒業した3回生時には、ついにエース格としての地位を築きあげた。

投手として真弓らほどの華はなくとも、その独特の球で勝負を挑み続けた。


4年間で、勝利と敗戦の数は、そう変わらない。
勝った分だけ、負け試合にも登板していることになる。
しかし、それは長く第一線で投げ続けたことの証明でもある。


戦力層の決して厚くなかった時代。
打線の援護も守備での援護もないなかで投げ続けた結果、記録された多くの敗戦。

その敗戦が、今のチームの礎となっている。



 卒業記念試合の予定されていた2月17日。
無情な雨のなか、今井は高熱に襲われていた。

幻の卒業記念試合...
しかし、これは神様のほんのいたずらにすぎなかった。




 1週間後の2月24日。
急きょ予定を変更し、病み上がりのなか、1週間ごしの卒業記念試合に臨んだ。
快勝かと思われた試合は、終盤に3ランと暴投で同点に。

そして、迎えた9回裏。
無死2・3塁から小路の放った打球は、高々と左翼手の頭上をこえていった。



 4年前、何気なく立ち寄った教室。
その先に用意されていた丸4年に及ぶテラーリンズでの時間は、自らが新代表に指名した1回生のバットによって、幕がおろされた。


 もしあの時、今井が教室に来なければ...

「おそらく、テラーリンズの灯は消えている。」

当時、教室にいた、久賀田・林らは明言する。



 その右腕で、テラーリンズをしっかりと守った4年間。
今井は見事に“完投”を果たした。

消えることのなかったテラーリンズの灯は、再び背番号18が帰ってくるのを待っているにちがいない。
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  by teralins | 2007-03-08 20:08 | 心の野球・03

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